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フードバンクちばの活動報告です。 フードバンクちば  TEL:043-301-4025 Mail:support@foodbank-chiba.com web: https://foodbank-chiba.com

困窮者支援のプラットフォームとして


5/28(月)、31(木)の2日間、千葉県・千葉県社会福祉協議会などが主催して「千葉県生活困窮者支援 初任者研修」が行われました。2015年(平成27年)より施行された、生活困窮者自立支援法に基づき、県内全市に生活困窮者の相談支援窓口が設置され、その相談員向けの新任者研修は昨年度より行われています。
私(菊地)は、県内の生活困窮者支援に関わる人たちが立ち上げた「千葉県生活困窮者自立支援実務者ネットワーク(ちば困ネット)」の運営委員として、研修のカリキュラムづくりや当日のグループワークのお手伝いなどで参加しました。
この研修に限らず、生活困窮者支援の研修ではグループワークやケース検討を通じて支援の方法などについて学ぶわけですが、支援プランを作る場面で多くの人が緊急支援として「フードバンク」の利用を当たり前のように提案します。
おそらく、6年前にフードバンクちばが設立されるまでは、フードバンクが当たり前の支援ツールではなかったことを考えると、この6年で困窮者支援のプラットフォームとしてフードバンクが根付いてきたことを感じます。
生活に困った人がいた時に、まずフードバンクを利用して一息ついてもらう。実際の支援の場面では、その後の信頼関係の構築や制度につなぐことなど、息の長い伴走が必要になってくるわけですが、とりあえずの危機を回避するために、フードバンクがもっとも使いやすいツールとなるよう、県内に普及させていきたいと考えています。
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アメリカのフードスタンプ

アメリカ合衆国では、低所得者層向けの公的扶助として「フードスタンプ」という政策があります。正式名称は「補助的栄養支援プログラム」(SNAP、Supplemental Nutrition Assistance Program)というもので、おおむね4人家族で月2,500ドル以下の収入の人に、EBT(Electronic Benefit Transfer)という食料品のみ購入可能なデビットカードのようなものを配り、1人当たり月100ドル相当の商品がスーパーなどで購入できるようにしています。

  アメリカ農務省のフードスタンプのパンフレット(日本語版)

 いまや、アメリカ国民の15%、4667万人(2012年8月)がこの制度を利用しており、低所得者の生活を下支えしています。アメリカ経済は回復していると言われていますが、一方でフードスタンプ利用者は増え続け、国民の7人に1人がこの制度を利用しているといいます。

 フードスタンプの制度は州ごとに違いますが、国民の生活を保障する公的扶助制度(所轄官庁は農務省ですが)ですから、15%というのは本当に大変な数字です。給付水準がまったく違うとはいえ、日本の生活保護受給者の受給率と比べても10倍近い開きがあります。

 そんなわけで、政府がフードスタンプへの支出の削減を行うと、たちまちウォールマートなど小売り大手の業績が悪化してしまうわけです。

米小売大手が売上高予想を相次ぎ下方修正、年末商戦は正念場(2014/10/16:ロイター)
「(前略)米小売最大手のウォルマートは15日、今年度(―2015年1月)売上高の伸び率予想を2─3%とし、当初の「3─5%の下限」から引き下げた。ドル高に加え、フードスタンプ(食料配給券)制度の支給額削減による影響が予想より大きかったとしている。」

 米農務省経済研究局は、フードスタンプによる給付金1ドルにつき、国内総生産(GDP)が1.79ドル押し上げられる、と述べています。つまり、アメリカは社会福祉予算と国内経済が連動する状況になっています。

 大儲けする企業家が生まれる一方で、膨大な
貧困層が1食当たり1.25ドルのフードスタンプで生きながらえているという分裂した社会です。

 日本のフードバンク活動を考えるとき、非常に参考すべき内容だと思います。
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日本の飢餓

雑誌「ナショナルジオグラフィック」Webサイトの特集「The Future of Food」で「日本の食の未来」という連載インタビュー記事が掲載されています。

その第4弾は、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩(あべ あや)社会保障応用分析研究部部長への「日本の飢餓」と題したインタビューです。

File4 日本の飢餓 阿部彩 (阿部さんへのインタビューだけで3回のシリーズです)

記事では、日本の世帯における貧困について『 同研究所が2012年に行った「生活と支え合いに関する調査」で「食料の困窮経験」を尋ねている。それによると、過去1年間に経済的な理由で家族が必要 とする食料が買えなかったという経験を持つ世帯は、14.8%にのぼる。6世帯に1世帯が食料の困窮を経験していることになる。低い数字ではない。』と説明されています。

阿部さんは、『「貧困というと、私たち日本人がまず思い浮かべるのは、ホームレスのような人々です。衣食住の最低限を満たせない絶対的貧困層。しかし今、露わになってき ている新しいかたちの貧困は、それとはかなり様態が違います。家もあれば身なりもきちんとしていて、携帯電話も持っている。ふだん接していて貧困者とはま ず気づきません。しかし、実際はその日食べる物にさえ困り、借金も抱えている。そういう様態の貧困です。」』と、見えない貧困の存在についてについて、警鐘を鳴らしています。

この記事の内容は、私たちがフードバンク活動を通じて支援している千葉県内の困窮世帯の状況ともかなり重なるところがあります。就職の失敗、失業、病気、事故・・・何かのきっかけで、食品を手に入れることが難しくなる人たちが、私たちの周りにはかなりの割合でいること、活動を通じてもっと多くの方に知っていただきたいと思います。(菊地)
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ギリギリ状況に想いを馳せる

大阪で「もっと食べさせたかった」というメモを残して亡くなった母子については、餓死の可能性もあるとのことで、本当に「何とかならなかったのか?」と痛ましく思います。
フードバンクは、まさに今困っている方に食品を提供することを目的とした活動をしているので、困った方がすぐにアクセスできるような仕組みづくりが必要なわけですが、手持ちのお金も食品も尽きてどうにもならなくなってやっと市役所や社協(やフードバンク)にSOSが出されるケースが多く、一歩間違えれば大阪の母子のようになる可能性もたくさんあるように思います。

昨年9月に開催したフードバンク学習会「セーフティネットづくりどフードバンクの可能性」のパネルディスカッションで「なぜ、ギリギリになってSOSが出されるのか?」という問題が話題になり、普段から困窮者支援を行っているソーシャルワーカーの方々から、「“助けて”ということ自体が難しい」「他人に迷惑をかけないように暮らし過ぎている」「”ギリギリ”の判断が人によって違い、忍耐強い人が追い詰められる」「SOSは出していても、支援制度からこぼれおちる人が“ギリギリ”になりやすい」「社縁、地縁、血縁が崩壊したので、SOSをキャッチできる人が周りにいない」「本人がギリギリであることを認識しておらず、周りが手を出せない」などさまざまな意見が出されました。

そして、これもよくあるのですが「本当に困っている人は相談に来ることすらできない」という問題も出されました。
こちらの記事(BLOGOS)「貧乏は視野と思考を狭くしてしまう(諌山裕)」にその状況がよく描かれています。
食べものを買うお金がないほどに貧乏をしたことがない人には、この精神状態は理解できないだろう。裕福ではないにしても、住む場所があり、そこそこ食べていける状態では、まだまだ精神的にゆとりがある。

(中略)

光熱費を払えず、電気、ガス、水道を止められたこともあった。それらを止められたら、生活できないことは明白なのだが、無慈悲に止められる。そこの住人がどうなろうが、知ったことではない……というのが、電気、ガス、水道の会社の言い分なのだろう。ライフラインを握っている会社ではあるが、生きていたかったら金を払え……ってのが現実。

そんな状況に陥ったときの精神状態というのは、普通じゃない。

自分のことを客観的に見られないし、目先のことしか目に入らなくなってしまう。目先とは、「腹減った、なんか食いてぇ」と、何も入っていない冷蔵庫を、何度も開けてしまう。

先のことが考えられなくなる。将来の目標とか、1年後、1か月後のことすら考えられない。今日、どうするか、明日はどうするか、そこで思考は止まる。

ギリギリになるまで、誰かに助けを求められない。迷惑をかけたくないという気持ちと、自分が情けなくて恥ずかしいからだ。悶々と悩むが、思考が狭い範囲でループして、堂々巡りになってしまう。

そして、「腹減った……」と振り出しに戻ってしまうのだ。

亡くなった母子のニュースは、他人事に思えない。
フードバンクちばでは社会福祉協議会や中核地域生活支援センターなどと連携して、なるべく困った方の状況に寄り添って支援したいと考えていますが、なかでもこの「ギリギリ状態」に想いを馳せることが必要だと思います。
いずれにせよ、どんな状況であれフードバンクが最悪の状況になることを防ぐ一助になればと考えています(菊地)
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飲食代1日150円、貧困体験による支援運動 英国

AFP通信のニュースサイト「AFP BB」によると、世界の貧困ライン以下の1日1ポンド(約155円)の食費で5日間暮らし、貧困撲滅を目指す慈善事業の資金づくりを行う「Live Below the Line」という取り組みが英国で行われているそうです。
飲食代1日150円、貧困体験による支援運動 英国



日本でも1日150円の食費で過ごすというのはかなり困難ですが、実際、私たちの周りでも、食費をいろいろな形で削減せざるを得ない人はたくさんいます。記事の中では「貧困見物」との批判についても書かれていますが、そのような状況を実際に体験してみることは貧困問題を考えるひとつのきっかけになると思います。
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